危険な気胸

1.両側気胸
  文字通り両側同時に起こる気胸です。両方の肺が呼吸しにくくなるのですから、命にかかわる状態です。すぐに何らかの治療をしなければなりません。

2.緊張性気胸
  胸膜(肺の表面を覆っている薄い膜)に開いた破裂孔に、空気が一方通行する機構が出来上がると、空気は胸腔内にどんどん流出して、胸腔内圧が上昇していく状態で、左右の胸腔内圧のバランスが崩れるような気胸を緊張性気胸といいます。緊張性気胸になると患側の肺の虚脱は著明となり、のみならず、健側の肺をも圧迫するようになります。呼吸はしづらくなり、胸腔内圧の左右差のため、心臓や大血管を健側に圧迫して、不整脈が生じたり、心拍出量が減ったりし、重症では致命的になることも考えられます。

3.血気胸
  気胸を起こした際、胸壁と肺との癒着などが切れて、出血する状況を血気胸といいます。胸腔内は広く、陰圧がかかっているため、出血が止まりにくく、思いがけなく多くの出血に気がつかないこともあります。急激な出血では出血性ショックのため致命的になることがあります。
  自分の施設でも過去10年に8例の緊急手術となった血気胸があります。このうち1例は出血性ショックとなったため入院後2時間目に開胸手術となり、一命をとりとめました。